家族会のHPにあるログで、BPDについてのインデックスを選ぶとトップに来る記事に以下の記述がある。
BPDには対人関係,情動制御,衝動性,認知に関する問題という、4つの病理が認められます。
これらは、対人関係やコミュニケーションの問題が大きく与っています。
コミュニケーションのつまずきに対して、以下の2つの問題が生じます。
・世間に参加するのに妨げになる、厄介な「反応傾向(癖)」を身に付けてしまうこと
・世間に参加するのに不可欠な能力を習得しそこねてしまうこと
BPDを治療するには、単にDSM診断基準の症状に対応するだけでなく、こうした問題に治療的に取り組むことが不可欠です。
BPDが難治とされてきたのは、こうした患者の心理社会的機能の不全に、適切な対応がなされてこなかったからでしょう。
コミュニケーションのつまずきに対する脆弱さを改善することで、BPDの問題行動や症状を大きく減らすことが可能です。
【コミュニケーションのつまずきに対する脆弱さ(神経症傾向)】
↓↑
【BPDの症状】
・対人関係の問題
・衝動性
・感情不安定性
・認知症状
・同一性の障害
【世間に参加するのに必要な社会的能力の未習得】《治療の主目標》
・〈学び/学ばれる関係〉に耐えられる能力
・人の気持ちや考えをなぞる能力
【身に付けてしまった厄介なクセ】《治療の主目標》
・風変わりな反応傾向(癖)
精神科は治療の目標を社会参加、社会適応に置く事が多い。問題があっても、薬で症状を抑えたり、社会生活に必要な対応の仕方を身につけることでうまく社会で生きていけるならば病気と共存してやっていけばよいと言うことだ。
ただ、以前の記事でも取り上げた通り、この考え方はBPDでは必ずしもうまくない。社会機能は充分にありながら、家庭やパートナーとの関係でのみ問題を起こす高機能型(社会適応型)BPDが存在し、むしろ増えているからだ。上記のように「世間」「心理社会的機能」に重きを置いた対応は、必ずしもBPDが抱える問題の解決にならない。本人の生きづらさの解消、家族やパートナーに対する問題行動の消失と良好な関係の構築などを目標にすることになるはずだ。
高機能型BPDは病識をもつことが少なく、自傷のような問題行動もないかほとんどない。そもそもBPDが他責傾向を強く持つので、自ら悩んで精神科の門を叩くことが少ない。家族やパートナーが勧めて何とか精神科を訪ねることがあるかどうかということらしい。それでも普段は普通の人を完璧に演じているので、治療対象と判断されないこともあるようだ。
暴力、暴言、嘘、他責などで困り果てている家族は多いようだ。
認知の歪みを修正するような精神療法を受けていくことで改善は期待できるというし、日記をつけていき、自分がどんなことを原因として感情の動きが起きたのかを把握していくだけでも改善が起こりやすくなるともいうが、本人が主体的に取り組もうと思わない限り困難だ。
治療、カウンセリングを拒絶し続ける高機能型BPDは、パートナーには非常に困難性が高いと思われる。相手がしがみつき行動をしているのであれば治療へ向かわせることも可能かもしれないが、脱価値化をしていては声が届く余地がない。その場合はすっぱりあきらめた方がいいのではないだろうか。一旦は破綻しても時間を置いて相手が復縁を求めることがある。相当苦しい道になるので、その場合はまさに思案のしどころだ。それまでにトコトン学んでおく必要がある。
一方、子が高機能型BPDである場合、離れるという選択肢はない。家族会のような存在を頼りにすべきだろう。
