BPDの人と対することになって人がたどる過程

BPDと見なせる人もいろいろなので、暴力、暴言が目立たなかったり、自傷をしない人もいるだろう。それでもその内面にあるものは同様で、何かをきっかけに生じた激しい不安や怒りなどが渦巻いているはずだ。ある日突然起きるそうしたものによる豹変によって混乱させられ、苦悩させられる。原因がよく分からない。自分の落ち度も思い当たらない。しかし突然に相手が変わってしまった。嘘や辻褄の合わないことまで言い、責任転嫁してくる。どうしたらいいかまるでわからない。

そうした混乱で自分の生活が全て埋め尽くされてしまう状態に陥ってしまう。現実の苦しさの一方、とても良かった時期の幻影にも引きずられる。

そんな中で、一刻も早く自分を取り戻し安定させることが取り組むべきことだろう。少しでも状況を理解して、適切な対応を学び、どうするかの結論を出していくしかない。

一般にたどる過程について、星和出版のランディ・クリーガーの本からの引用(家族会のHPからの孫引き)

なお、「ノン・ボーダー」とはBPDと対している人のこと。

 ノン・ボーダーの人は、ボーダーの人との関係をとても続けられないと思いながら、去ることは想像ができないし、不可能のようです。
ノン・ボーダーの人は皆、同じ気持ちを抱いています。
今は見えていなくても、あなたには選択の自由があります。

○ノン・ボーダーの人が経験する5つの段階
一般的に次の段階を順に経験するでしょう。
大抵は行きつ戻りつします。

1.混乱段階
ボーダーの人の行動の理由を理解しようと苦しみます。
見込みのない解決策を探したり、自分を責めたり、混沌の中で生きようとしたりします。

 BPDの知識を得ても、知的なレベルで本当に理解するには何週間も何ヶ月もかかるでしょう。
感情的なレベルで理解するにはもっと長い時間が必要です。

2.外向段階
・注意をボーダーの人に向ける
・ボーダーの人に専門的な援助を受けるよう迫ったり、彼らを変化させようとする
・問題行動を誘発しないよう全力を尽くす
・ボーダーの人を理解したり、共感しようとするうち、学ぶことは全て学ぶ

 ノン・ボーダーの人が怒りや悲しみを理解するには、長い時間がかかります。
特に、親や子供がBPDの場合はそうです。
障害は本人の責任ではないと頭では理解していても。

 自分の怒りを抑圧し、代わりに抑うつや無力感や罪悪感を抱きます。
この段階で必要なのは以下のことです。
・自分の感情を認め、対処する
・ボーダーの人に自分の行動の責任を持たせる
・彼らが望み通りになる幻想を捨てる

3.内向段階
ノン・ボーダーの人は内面に目を向け、正直に自分を見つめようとします。
この段階の目標は、二人の関係で自分が果たしてきた役割を、より深く理解することです。
自己批判でなく、洞察と自己発見です。

4.決定段階
相手との関係について、何らかの決断を下そうと悩みます。
何ヶ月、何年も続くかもしれません。

 自分自身の価値観,信念,期待,思い込みなどをはっきり理解する必要があります。
例えば、離婚に反対する保守的な家系の出身のために、暴力を振るう妻と別れずにいるのかどうか?
他人のものではなく、自分自身の価値観で行動することが大切です。

5.決定期
決意を実行に移します。
時間をかけ、何度も迷い、別の選択を模索する人もいます。

○白か黒かではない関係
白か黒かだけではなく、沢山の選択肢があります。

・ボーダーの人が境界を侵したときは、一時的にその場を離れる
・関係をしばらく絶つ(数日~数ヶ月)
・ボーダーの人の行動を個人的に受け取らない
(相手が私だからやっているのだと受け取らない)
・関係は続けるが、別々に住む
・親密度を弱める
・一緒に過ごす時間を減らす
・趣味や友だち付き合いなどに、バランスよく時間を使う
・ボーダーの人が治療を受け、変化しようとする場合だけ、関係を続けると伝える
・彼らに約束を守らせ、破ったら去る
・あなた自身がセラピーを受け、問題が解決するまで、決定を先延ばしにする

○自分自身への問い
パートナーとの関係について、自分自身に問うべき質問があります。

・この関係から何を得たいか,何を必要としているか
・自分の感情をさらけ出せるか
・身体的な危険はないか
・子供にどんな影響があるか
・自尊心に影響を与えているか
・ボーダーの人と同じくらい、自分自身を愛しているか
・ボーダーの人が変化する用意ができたときだけ、受け入れているか変化がなくてもやっていけるか
・お金など、実際的な問題は何か
・自分が幸せになる権利があると思っているか
・人の犠牲になるときだけ、自分に価値があると思っているか
・最も気が休まるのはいつか
(その人といる時か,一人の時か,他の人といる時か)
・家族たちに逆らっても、自分の決定をできるか
・本当に自分自身で決断しているか,人がしてほしいことをしているだけか
・自分の決定の法的な結果はどうか
・私が友人の立場だったら、どうアドバイスするか

*「境界性パーソナリティ障害=BPD」第2版(星和書店)より

 

BPDの人を加害者として忌み嫌ったり攻撃したりするような言論もネット上には散見されるが、そうしたものをみてもBPDの人の行動の一面が見えるだけで、理解にはなかなか繋がりにくい。

BPDの家族やパートナー向けの書籍などを参考にすべきだろう。