BPDに地域的差がある?

BPDと言えば10代、20代のリストカットや過量服薬を繰り返す若い女性の病気という理解が一般的かもしれないが、30代はもちろん、40代、50代でも該当する女性は多い。むしろ、私は開業してまだ2年だが、イライラや情緒不安を訴えて受診される女性や、前医でうつ病やパニック障害と診断されたがなかなか改善しないと受診される女性のほとんどがBPD、ないしBPD的心性の濃厚な方である。
 私のクリニックがある沿線には多いと聞いてはいたが、それにしても訪れる女性、訪れる女性が皆BPDというのは驚きであった。
https://www.medi-gate.jp/selection/2017/10/26/opinion201105/

 この文を書かれた方が院長を務める青葉メンタルクリニックは田園都市線の青葉台にある。

 来る女性来る女性が皆BPDやBPD的心性というのは驚異的だ。

 田園都市線と言えば東急が開発した高級住宅地が連なる。本来なら谷津田で住みにくい高低差のある土地を、東京への地の利とイメージでうまく売ってしまった地域というイメージを持っている。開発からは随分時間が経っているので、年齢層は幅広いだろう。
 その沿線に多いと言う話が統計上有意かどうかはわからないが、少なくとも印象として新興高級住宅街は異常に教育熱が高く、子供を縛り付けるようなやり方をしているのを電車や飲食店の中ですら見ることがある。あくまで印象ながら、教育虐待は起こりやすそうだ。

 イライラや情緒不安定で受診するのはまだマシな方で、その背景には受診することないBPDやBPD的心性を持つ人がいるのだろう。

 上記の引用に至る部分から。

「人は皆、最初はお母さんのお腹の中にいます。それで、お母さんのお腹にいる間は、守られているから安心なんです。でも、いざ生まれてくると、どこだかわからないところに突然出てきて、おまけに人間の赤ちゃんて、すごく未熟ですよね。放っておかれたら、死んでしまいます。だから、このまま死んでしまうんじゃないかとすごく不安で怖いんです。泣くことしかできないし。でも泣けばお母さんが来てオッパイをくれたり、お尻を拭いてくれたりと世話をしてくれる。とっても怖いんだけど、泣けばお母さんが来てくれる。泣けばお母さんが来てくれる、という体験を何度も何度も繰り返すことで、初めて人は生きていけるんだという安心感を得ていくんです。
 ところが、泣いてもお母さんが来てくれないとか、お母さんや、お父さんにしょっちゅう怒られるとか、両親がいつも喧嘩しているとか、何かの都合で親戚の家に預けられてしまったとか、幼いころに何かしらハッピーでない環境で育てられると、子どもはなぜか『それは自分が悪い子だから』と思ってしまうんです。だからいい子にならなければいけない。ちゃんとしていないといけない。いい子でないと自分は捨てられてしまうと、そんなふうに思ってしまうんです。
 そして、一度そう思ってしまうと大きくなってもその意識は抜けなくて、いつもいい子にして。仕事も何もかもきちんとしていないと不安になってしまうんです。のんびりお茶したりしていると、何かサボっているような気がして、いつも何かしていないといけないという気持ちに追い立てられてしまうんです。
 それに、人間関係の出発点はお母さんとの関係なんですが、このお母さんとの間に心から安心できるという関係が築けなかったために、大きくなって友だちができても心から信頼することができないんです。普通なら昨日まで友だちなら今日も友だち、明日も友だちと、ごく自然に信じられるのに、毎日顔色を見ては『今日は○○ちゃん、大丈夫かな?』と確認しないと不安になってしまう。そして、何かいつもと違うと感じると『何か悪いことをして嫌われてしまったのかしら』と思って、絶交と言われないうちに自分から離れていってしまう。だから、なかなか友人関係がつづかない。
 心のどこかに『私なんて生まれてきてはいけなかったんだ』という思いがあって、だから、なんとなく死にたいとか、死んでもいいやという気持ちが漠然とあって、いつも頼りなくて、だからこそ誰か自分を、自分のすべてを受け止めてくれそうな特に異性に出会うと、全面的に頼ってしまう。でも、そんなふうに頼ると、相手の負担が重くなって長つづきしない。
 どうです?ご自身を振り返って、思いあたるところはありませんか?」

 そうした想いを持つ人達が、受診することで少しでも心が軽く、緩解していけるといいのだが。