エモーショナルディスクロージャー

つらいことが起きた時、それを乗り越えなければならない。

現実が変えられないのであれば、少しでも早く回復した方がいい。

 

そんなときは負の感情を吐き出すことが大切という。

その負の感情を外に向かって(紙に書くでもいい)表明することで、回復が早くなると言う。それがエモーショナル・ディスクロージャー。

 

アメリカの心理学者の実験では、1日20分、エモーショナル・ディスクロージャーをさせたグループと、させなかったグループを分けた。

その結果、エモーショナル・ディスクロージャーをさせたグループのほうが1週間後の気持ちが明るく安定し、更には数カ月後に再就職率を比べたところ、エモーショナル・ディスクロージャーを行ったグループは53%、何もしなかったグループは14%という結果になったという。

 

愚痴を聞いてもらう、日記をつけるなど何らかの方法で負の感情を吐き出すことが、心の安定、前向きな再スタートに繋がる。

 

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しかし、BPDのパートナーが突然訳もわからないまま豹変して暴言や暴力をはじめたり、音信不通になったりする場合、どう受け止めればいいのだろうか。

受けるショックが大きく、現状の認識がかなり難しい。何故そうなったのかがわからない。なんとか回復できるのではないかと努力してしまう。自分が悪かったのかと責めたりもしてしまう。

いろいろ調べるなどしていて、ようやくBPDなどの精神疾患の可能性に気付く。しかしそこには治るとあったり治らないとあったりして、現状をつかみかけるも、今後を見通せない。

本当に厄介だ。BPDは、普通の人のように理解できる別れを提供してくれたりはしない。自己本位に相手をぶった切る。

そのまま潰されてしまって、仕事を失ったり、生活を破壊されてしまうのが一番まずい。

医療の助けを借りて支援を続けるという選択肢があるが、家族でないのなら相手を見捨てるという選択肢も考える必要がある。

 

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ネットや書籍等いろいろ見ていると、【試し行為】としてついたり離れたりを繰り返す場合のほか、相手が突然分かれを切り出し、そのまま音信不通になること、相手がパートナーを乗り換えながらまた戻ってきたり、複数人に対してパートナーの様に振る舞い続けてまた同じ人を相手にするようなことがあるようだ。また、別れも言わずに音信不通になるようなこともある。そのあたりは人それぞれ、相手や置かれた環境等にもよるだろう。

【試し行為】として分かれを切り出す場合は、基本的に相手への執着があるが、複数人を同時に渡り歩いているなら、誰に対しても特段に執着はしていないかもしれない。飲み込まれ不安や脱価値化で相手を拒絶しはじめていれば、憎悪すら抱いており、何をしても無駄に思える。相手は1か0かの判断しかできない。時間をおいて相手が気持ちを変えるぐらいしか可能性がない。同じ相手にふたたび執着を見せるかどうかはその人次第だ。過去の憎悪などなかったかのように悪びれもせずまた表れることもある。

なにしろBPDのパーソナリティは幼いので、自分本位で自分の感情に振り回されて幼子のように振る舞う。高機能型では日常生活でそれほど問題を感じさせないかもしれないが、自分が知る限り健常な人とは心の働きや行動に違いを大きく感じる。

感情の機微には敏感なので、憎悪に燃えていると意図的に相手の精神的なウィークポイントを狙って傷つけるようなこともするようだ。

そして、特に高機能型の場合はすべての責任は相手にあると思っている。

試し行為の範疇ではないと判断できる場合、相手が完全に拒絶しているのなら、離れるのが賢明ではないかと思う。

後者の場合、すべて相手の頭の中で起きていることが原因なので、自分に落ち度があるわけではないか、ホンの些細なことがきっかけに過ぎないだろう。

その場合、どう立ち回ってもパートナーだった人を相手にしようとしないか、怒りをたぎらせるだけだろう。相手にパートナーへの執着がない限り、打てる手はない。下手に動けばストーカー扱いされて通報されたり、周囲の人間関係を破壊される可能性がある。BPDは他人の操作に長けているから、極めて危険性が高い。

そういう存在であると言うことを認識する必要がある。過去にあったことはBPDが無限の愛情探しのためにつくりだした幻と考えた方がいい。

そこにたどり着くまで数ヶ月は時間がかかるだろう。それぐらいBPDは理想的な女性のように振る舞い、相手の心をつかむことに長けているし、相手のことを考えない唐突で理不尽な振る舞いは困惑、混乱を生み心を引き裂く。

相手は精神的な病を持っているのだと認識できれば、あとは怒りの感情を吐き出すなどして、なるべく早く精神を回復させるべきだ。そして自分の生活を取り戻さねばならない。

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普通の恋人との別れと、BPDの行動は、かなりかけ離れている。

周囲の人は相手は「あなたへの愛情が冷めて、ほかの人に移ったのだ」というかもしれないが、そういう単純な理解は事実と異なる可能性が高い。「振られたのだからあきらめろ」、「現実を受け入れろ」という決めつけは的外れであろう。それは被害者を責め立てているだけだ。

ほかに乗り換えるために捨てるのではなく、勝手に不安に飲み込まれて相手を切り離しにかかったりする。そもそもありもしない無限の愛情を求めて相手かまわずさすらっているのがBPDだと思うべきかもしれない。

とにかく相手は健常な人とはちがう精神疾患の持ち主なのだ、という事実認識をしないとどうにもならない。

そこからようやく自分を取り戻すフェーズが始められる。そのためには、相手を見放してもかまわない。自分が相手に飲み込まれて非健全な精神状態にあれば、相手を支援することも難しい。

自分の生活と冷静さを取り戻し、そこから相手のことを考え直せばいい。

高機能型BPDは自殺したりしない。

低機能型BPDや中間的な人については自傷が目立てば強制入院が可能なので、そうした方向に持って行くべきだ。