うつは言葉に出るらしい

ウォールストリートジャーナルの記事から。

「うつ」は言葉に出る、その一言を変えるヒント

口にする言葉そのものが重要だと心理学者は指摘

By Elizabeth Bernstein
2018 年 6 月 13 日 09:44 JST 落ち込んでいる人は自分の言葉に注目するといい。コンピュータープログラムを使って人の話や文章を分析する機関によると、「うつ」状態にある人の言葉は内容も単語の選び方も大きく変わる。落ち込んでいる人は「私」を使う頻度が高まる傾向にあり、これは自分への注目が高まっているしるしだ。また、過剰すぎるほど白か黒に分けるような思考を反映する絶対的な言葉が多くなる。人は落ち込むと話し方が変わることは研究者の間で長らく知られていた。具体的には、声が小さく、抑揚がなくなり、話をやめたり再開したり休んだりと不自然になる。だが最近の研究によると、落ち込んだ人は使う単語も違う。

テキサス大学のジェームズ・W・ペネベーカー教授(心理学)によると、落ち込んでいる人は微妙なニュアンスに配慮せず、そのことは使う言葉で分かる。

がんなどの疾患と違ってうつ病にはバイオマーカーがないため、療法士は患者が訴える症状や分析を頼りに診断を下しているのが現状だ。いずれもかなり主観的になり得る。先週亡くなったデザイナーのケイト・スペードさんとシェフのアンソニー・ボーデインさんは自殺したとみられており、うつ病の診断・治療がいかに難しいかを物語っている。

3月に専門誌「ジャーナル・オブ・パーソナリティー・アンド・ソーシャル・サイコロジー」の電子版に掲載された研究では、米欧の大学の研究者が「うつ」の度合いを測るため、米国とドイツの6施設で4700人超に質問をしている。恋愛相手との最近の破局や生活満足度、全般的な思考や感覚などについて被験者に記述してもらい、その言葉をソフトウエアが分析した。その結果、落ち込んでいる人はそうでない人に比べ、否定的あるいは悲観的な言葉が多かったほか、1人称の代名詞が目立った。

論文を執筆したペネベーカー教授によると、人称は関心の対象を示す。関心が他人に向いている人は3人称の「彼」や「彼女」を使う。人間関係への関心が強ければ「私たち」だ。これに対し、「落ち込んでいる人など、自分のことを考えている、つまり自意識が強い状態にある人は『私』(Iやme)を使う」という。

1月にク リニカル ・サイコロジカル・サイエンス誌に掲載された一連の研究によれば、「うつ」の人は世界を白か黒かで見る傾向にあり、絶対的な考えを示す「しなければならない」「完全に」「すべきだ」「常に」といった言葉を使う。

英レディング大学の研究者らはこの研究で、「うつ」、不安障害、自殺願望に関するインターネット掲示板のメンバー合わせて約6400人の言語を分析。ソフトウエアを使って絶対的な言葉の割合を計算した。「うつ」のフォーラムと不安障害のフォーラムでは使われた言葉の約1.5%が絶対的なもので、比較対照のフォーラムでの割合を50%上回った。自殺願望フォーラムでは約1.8%とさらに高かった。

絶対的な言葉はなぜ悪いのか。人は自分がそれを使っていることを認識せず、否定的な思考を強める可能性がある(例えば雨でバーベキューが中止になった時に、「いつもこうだ」と言うのは「6月は天気が予想できないことがある」よりずっときつい)。

心理学者らによれば、言葉は思考回路を変えるのに役立つ道具になり得る。筆頭執筆者のモハメド・アルモサイウィ氏(レディング大学)は「言葉に出すことで、それが内面に定着するケースは非常に多い」と話している。以下はその対策。

* 言葉が伝える思考だけではなく、口にする言葉そのものが重要であることを忘れない。否定的な言葉を肯定的な言葉に置き換えられない場合でも、もっと正確かつ中立的な言葉を探す。「このパーティーはひどい」ではなく、「このイベントは私向きではない」と言ってみる。

* 絶対的な言葉を排除。目標や関係性については特に気をつける。結果が期待に沿わなかった時にひどく落ち込む恐れがあるからだ。避けるのは、常に、決して、何も(ない)、なければならない、あらゆる、全体的に、完全に、絶えず、全体に、全て、間違いなく、完全な、100%、といった言葉だ。代わりにあいまいな言葉を使う。「決して好機をつかめない」ではなく、「うまくいかないこともある」といった具合だ。

* 書く。日記をつける。意識の流れについて書く練習をしてみる。友人あての電子メールを書く。それから使っている単語を分析する。あまりに否定的または絶対的すぎないか。全て自分に関する単語か。そうした文章は変え、話す時もそうした単語に気を付ける。

* 信頼する人に、絶対的ないし否定的な単語や文章を使っていたら指摘し、変更を促してほしいと頼む。自分の言葉より人の言葉の方が気づきやすい。

* 絶対的な言葉に代わる決まり文句を作る。例えば、「いつもこうだ」ではなく、「今回はこうなった」と言う。それを付箋に書き、見えるところに貼る。スクリーンセーバーにする。その言葉を刺しゅうした枕を作る。

* 「私」という単語に気をつける。大半の文に「私(Iやme)」があったら、関心が自分に集まりすぎているのだろうとペンベーカー氏は話している。
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鬱が出てくると、二極思考が現れるという。それが言葉に反映すると言うことらしい。

逆に、言葉を変えることで思考も変わるという。

ツイッターで見ていたら、「死にたい」を言い換えるという実践をした人もいた。

BPDの場合で、日記をつけることで感情変動の因果をとらえる、自分を客観的にとらえていくことで改善を図るという方法があるらしいが、言葉で説明をすることで思考を変える効果もあるはずだ。

 

これらは認知行動療法に当たると言うことらしい。

モーメントにまとまっているので、興味のある方はどうぞ。

 

私の接していた人は言葉で説明するのが苦手らしく、言葉にすると違ってしまうと言っていたし、感覚的・感情的な言葉ばかりを使っていた。長文を読むのも苦手らしかった。

ある頃から感情不安定になりうつ傾向になったが、そのころには関心は自分にばかり向いている様子があった。その後、豹変してしまった。

今思い返すと、言葉がサインになっていたように思う。