高機能型/低機能型BPD

 BPDには高機能型と低機能型の二つがあり、その混合であることが多いそうだ。

低機能型はBPDの典型タイプ。自傷行為を行い、多くの問題行動があるもの。メンタルの問題を認め、援助を求める。

高機能型は見た目には普通の人で、メンタルの問題を認めず、援助を求めず自分の問題として取り組まない。他人のせいにし、怒りを自分の外に向ける。自傷行為などは行わない。一部の人にしか症状をあらわさない。問題は低機能型同様なのだが、問題を隠すのがうまいタイプ。

 低機能の従来型の人はセラピーを求め、高機能のタイプの人は、相手のほうがセラピーを受けるべきだと挑発します。

○低機能の従来型のBPD
典型的なBPDの人々です。

・自傷や自殺行為のような自己破壊的な行動によって、苦痛に対処する
内に向かう行動化(acting in)
・自分に問題があると認め、必死にメンタルの援助を求める
・日常的に機能するのが困難
・摂食障害や物質乱用など、重複する障害は深刻
・家族の課題は、治療を見つけること,自殺企図など危機への対処,経済的負担など

○高機能で見た目には分からないBPD

・人間関係の問題は他の人のせいである。
相手のほうがBPDだと批難する
・援助を求めない。
カウンセリングでも自分の問題に取り組まない
・外に向かって激怒したり、現実・想像の問題で家族を批難することで、苦痛に対処する
・気が強い,自信ある態度の裏に、低い自尊心を隠し持っている。
職場ではよく働き、身近な人にだけ攻撃的行動を示す
・他の精神障害がある場合は、自己愛性パーソナリティ障害のような高機能障害
・家族の課題は、言語的・感情的・身体的虐待への対処。
治療を受けるよう説得すること。
他の子供への影響。
自身と自尊心の喪失。
境界を設ける試みと失敗

 彼らは、要求を満たし、苦痛を避けるため、何重もの防衛機制を作り出します。
これは不安定なアイデンティティに繋がります。

 人前では、ボーダーの行動を見せない人を完璧に演じます。
自分をコントロールできると本当に信じているため、そのパーソナリティに従って行動するのです。
しかし人を永遠には騙せません。
もう一方のパーソナリティが刺激されると、コントロールは失われます。

*「境界性パーソナリティ障害ファミリーガイド」ランディ・クリーガー
 〈監訳:遊佐安一郎〉(星和書店)より
http://seiwa-pb.co.jp/mt/mt-search.cgi?search=%E9%AB%98%E6%A9%9F%E8%83%BD&IncludeBlogs=3&limit=20

 

2つのタイプの比較してみると、攻撃性が強く、疾患を認めず援助も求めない、治療を受け始めてもすぐやめてしまう高機能型は本当に厄介だと言える。

○重複する特徴を持つBPD
多くのBPDの人は、低機能,高機能の両方の特徴を持っています。
配偶者や精神科医などには感情をあらわにしますが、家族以外の人には障害を持たない人として振る舞います。

oBPDを持つ個人のふたつの重複する分類
・対処技法
低機能:内に向かう行動化(acting in)
高機能:外に向かう行動化(acting out)
対人関係が拙いというより、無意識で、自分の苦痛を他者に投影して生ずる

・機能
低機能:自立した暮らし,仕事の継続などが困難
高機能:カリスマ的にさえ見えても、裏ではBPDの特徴を示している。
キャリアを積み成功していることもある

・援助を受ける意思
低機能:自傷や自殺傾向が理由で受ける。
セラピーに関心が高い
高機能:脅されるとセラピーを受けるかもしれないが、真剣に取り組んだり、長続きすることは稀

・併存するメンタルヘルスの問題
低機能:双極性障害や摂食障害など、医学的介入を必要とし、低機能の原因となる
高機能:物質使用障害,または別のパーソナリティ障害(特に自己愛性)

・家族への影響
低機能:親は極度の罪悪感を抱え、感情的に圧倒されている
高機能:家族は自分を責め、BPDの人の要求を満たそうとする。
対立点の多い離婚や親権争いが問題となる

*「境界性パーソナリティ障害ファミリーガイド」ランディ・クリーガー
 〈監訳:遊佐安一郎〉(星和書店)より
 (引用文は翻訳がベースなせいか、あちこちに日本語的な問題があって読みづらい)
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 実際には混合タイプが多いとのことで、高機能型でも自傷行為、自殺企図が多い人もいるそうだ。
 高機能型の要素が強いほど、他人に症状を見せないので気付かれにくい。ネットで「ボダ」として話題になるのは、一見普通の人でありながら、ターゲットを定め、近付いてきて被害をもたらすこのタイプだろう。
 しかし、自分が知る複数の人は高機能型であったと思われるが、言動からいずれも「メンタルが普通ではない」ことにすぐに気付いた。当時BPDについて十分な知識があればBPDであると分かったであろうと思う。ターゲットにされていない第三者の立場でも注意深く観察していれば社会生活は営めているが言動やメンタルが普通の人と違っているとわかったであろう。
 だがそれも人によって違うのかも知れない。
 家族やパートナー等にとっては高機能型でも攻撃を受ける対象であるから症状は明らかである。しかし、何とか支援をしたいわけであるが、直接攻撃を受けるだけでなく、他人には普通に見えて家族やパートナーが理解されづらく(あるいはBPDによる対人操作の結果、家族やパートナー、支援者が他人から悪印象をもたれる)治療を受けたがらない高機能型故の問題に振り回され、難しさがより大きいように見える。
 低機能型から年齢と共に寛解(症状が弱くなり、診断基準を満たさなくなる)していくと一般に言われるのだが、寛解しているように見えているだけで実は高機能型に移行している人というのがいるのではないかと個人的には気になっている。
 患者本人も含め、同じようなことを思っている人はいるようだ。
 少なくともほっておけば寛解していくものではないと海外では解説されているようだ。
 高機能型について言及しているものが日本語のものはネット上には少ないようだが、高機能型を自称される方のブログなどを見ると、参考になる部分があるだろう。

逆境から立ち上がった臨床心理士

 また、翻訳を紹介しながら高機能型について詳しく解説をしているブログもある。ここの牧師さんが翻訳されている内容は他で紹介されていない内容で、読む価値がある。

妻が境界性パーソナリティ障害を持つのではないかと思い至っています。私はその夫でクリスチャンです。