住むならば

私の親はいわゆる転勤族だったので、太平洋ベルト地帯に沿って数カ所に転居している。

実際に行ってみたり、google mapで確認すると、大概の場所は住んでいた社宅もなくなり、周囲も全く別の様相を呈していて、もはや面影もない。神社や道のつながりなどに当時の面影を感じるのみだ。

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都内では生まれた地である杉並区と目黒区がなじみ深い。また、小金井も何かとなじみがある。

小学生時代の大半を過ごした目黒は良くも悪くも自分にとっての基盤になっている。

目黒では、近所に当時は立ち入り禁止だった林業試験場跡(今の林試の森)があり、警備員の目をかいくぐってカブトムシなどを捕まえにいくスリルのある場所だったり、清水池で釣りをしたり、目黒不動の境内で遊んだり、縁日を楽しんだり、意外に子供にとって遊べる世界であったりもした。ただ、今目黒に戻りたいかと言えば、そうも思わない。せせこましく、ノイジーで、今ひとつ心豊かに過ごせる気がしない。

一方、もう一つの私の基盤である東京西部の武蔵野地域は長い歴史にはぐくまれた土壌があり、文化的豊かさがある。祖母と親戚が住み、父親の勤め先の研修施設があったことから、小さい頃からなじみがある上、大学も彼の地である。自分にとってはもっとも落ち着く場所だ。

今住んでいる千葉市は、歴史がないわけではないが、残念ながら文化的豊かさを感じることが少ない。横浜よりはマシらしいが、図書館が自転車を使っても簡単に行ける距離にはなかった。今は徒歩圏内に図書館があるが、あくまで大きめの「分館」でしかない。目黒では自転車を使って3館を利用していた。

埋め立て地の生活は広く快適であるが、歴史と無縁で、自分たちが作り上げてきた地という自負はあるが、外部の力によって簡単に破壊された経緯もあり、かなり虚ろに感じている。人工地盤、人工海浜で自然に乏しいのも生物好きとしては辛いものがある。

楽器屋も、自動車修理屋も、千葉ではあまりよいものがないし、そもそも数が少ない。東京西部や神奈川方面の豊かさとは全く異なる。

駅前の商店街も、中央線沿線、西武新宿線沿線等では規模が大きく懐かしい感じのするものがそこかしらにあるのに、千葉(千葉市)ではなかなかそういったものに出会えない。先日ピアノのリサイタルを聴くために訪れた、中野の野方駅前の商店街は、まさに懐かしさを感じる商店街であった。

もちろん、都内も場所によっては行くだけ嫌になるような場所もあるのでどこでもいいわけではない。心の貧しさが街並みに現れているような地域は願い下げだ。ごみごみした地域はとにかく苦手で、自分が落ち着くのはやはり小さな頃からなじみのある武蔵野地域だ。「井」の字がつく地名が多い、わき水豊かな地である。

もし、今後住むことができるのであれば、武蔵野地域にすみたい。歴史と文化のある彼の地で余生を送ることができれば幸せかもしれない。

http://musashinoparks.com/what/

 

ちなみに…

苦手なのは国道15号線沿い、品川以西の東京都内。せせこましくとにかく子供の頃から嫌悪感を感じてきた。

池袋周辺も何か苦手を感じる。