BPDの人は矛盾に満ちているのか

https://twitter.com/BPD_NancyDoll/status/1018562472368791552

自分が接した人も、矛盾ばかりだった。

言うこととやっていることが矛盾し、前にいったことと今いってることが矛盾し。

自分で説明したり、どうして欲しいと言うことを言えないようだ。自分で問題解決が出来ず、すべて相手に責任を押しつけて、挙げ句の果てに逃げ出してしまう。相手には全く伝わらない。

本当に、幼い子供のようだ。

本人が物事のとらえ方を修正し、問題解決の仕方を学ぶしか、解決の方法はなさそうに思える。

そうしない限り、いつまででも人間関係をうまく作れないまま人を傷つけ続けるだろうに。

 

 

 

BPDに地域的差がある?

BPDと言えば10代、20代のリストカットや過量服薬を繰り返す若い女性の病気という理解が一般的かもしれないが、30代はもちろん、40代、50代でも該当する女性は多い。むしろ、私は開業してまだ2年だが、イライラや情緒不安を訴えて受診される女性や、前医でうつ病やパニック障害と診断されたがなかなか改善しないと受診される女性のほとんどがBPD、ないしBPD的心性の濃厚な方である。
 私のクリニックがある沿線には多いと聞いてはいたが、それにしても訪れる女性、訪れる女性が皆BPDというのは驚きであった。
https://www.medi-gate.jp/selection/2017/10/26/opinion201105/

 この文を書かれた方が院長を務める青葉メンタルクリニックは田園都市線の青葉台にある。

 来る女性来る女性が皆BPDやBPD的心性というのは驚異的だ。

 田園都市線と言えば東急が開発した高級住宅地が連なる。本来なら谷津田で住みにくい高低差のある土地を、東京への地の利とイメージでうまく売ってしまった地域というイメージを持っている。開発からは随分時間が経っているので、年齢層は幅広いだろう。
 その沿線に多いと言う話が統計上有意かどうかはわからないが、少なくとも印象として新興高級住宅街は異常に教育熱が高く、子供を縛り付けるようなやり方をしているのを電車や飲食店の中ですら見ることがある。あくまで印象ながら、教育虐待は起こりやすそうだ。

 イライラや情緒不安定で受診するのはまだマシな方で、その背景には受診することないBPDやBPD的心性を持つ人がいるのだろう。

 上記の引用に至る部分から。

「人は皆、最初はお母さんのお腹の中にいます。それで、お母さんのお腹にいる間は、守られているから安心なんです。でも、いざ生まれてくると、どこだかわからないところに突然出てきて、おまけに人間の赤ちゃんて、すごく未熟ですよね。放っておかれたら、死んでしまいます。だから、このまま死んでしまうんじゃないかとすごく不安で怖いんです。泣くことしかできないし。でも泣けばお母さんが来てオッパイをくれたり、お尻を拭いてくれたりと世話をしてくれる。とっても怖いんだけど、泣けばお母さんが来てくれる。泣けばお母さんが来てくれる、という体験を何度も何度も繰り返すことで、初めて人は生きていけるんだという安心感を得ていくんです。
 ところが、泣いてもお母さんが来てくれないとか、お母さんや、お父さんにしょっちゅう怒られるとか、両親がいつも喧嘩しているとか、何かの都合で親戚の家に預けられてしまったとか、幼いころに何かしらハッピーでない環境で育てられると、子どもはなぜか『それは自分が悪い子だから』と思ってしまうんです。だからいい子にならなければいけない。ちゃんとしていないといけない。いい子でないと自分は捨てられてしまうと、そんなふうに思ってしまうんです。
 そして、一度そう思ってしまうと大きくなってもその意識は抜けなくて、いつもいい子にして。仕事も何もかもきちんとしていないと不安になってしまうんです。のんびりお茶したりしていると、何かサボっているような気がして、いつも何かしていないといけないという気持ちに追い立てられてしまうんです。
 それに、人間関係の出発点はお母さんとの関係なんですが、このお母さんとの間に心から安心できるという関係が築けなかったために、大きくなって友だちができても心から信頼することができないんです。普通なら昨日まで友だちなら今日も友だち、明日も友だちと、ごく自然に信じられるのに、毎日顔色を見ては『今日は○○ちゃん、大丈夫かな?』と確認しないと不安になってしまう。そして、何かいつもと違うと感じると『何か悪いことをして嫌われてしまったのかしら』と思って、絶交と言われないうちに自分から離れていってしまう。だから、なかなか友人関係がつづかない。
 心のどこかに『私なんて生まれてきてはいけなかったんだ』という思いがあって、だから、なんとなく死にたいとか、死んでもいいやという気持ちが漠然とあって、いつも頼りなくて、だからこそ誰か自分を、自分のすべてを受け止めてくれそうな特に異性に出会うと、全面的に頼ってしまう。でも、そんなふうに頼ると、相手の負担が重くなって長つづきしない。
 どうです?ご自身を振り返って、思いあたるところはありませんか?」

 そうした想いを持つ人達が、受診することで少しでも心が軽く、緩解していけるといいのだが。

 

対象恒常性

先日の知恵袋の回答を見直して、なるほどと思うところをもう一度見てみる。

BPDは24時間365日自分を充す対象がいないと幼児期に起こった見捨てられ不安が起こり、気がおかしくなってしまう為です。そして、現実にその場にいる人からでないと、愛情を感じる事が出来ないのです。これは、対象恒常性という自分の中で自分を支える誰かのイメージの構築に失敗しているからです。(小さい時は大体お母さん)BPDは自分が愛されているという事をどうしても実感出来ないのです。

対象恒常性という言葉が出てきた。

これについては他のサイトから引用してみる。

対象恒常性・誠実さ、一貫性、信頼、不安の耐性の土台

 

対象恒常性とは、「ある対象が目の前から消えても、その対象自体はなくなっていない」という感覚です。

生後9ヶ月くらいの赤ちゃんに「いないいないばあ」をすると喜びます。これは対象恒常性が獲得されつつある時期だからです。
「ほら、お母さんはそこにいるでしょ、隠れててもいるでしょ、ほら、いた!!」と「いないいないばあ」をするお母さんに向かって思っているのです。

お母さんの姿が視界から見えなくなると、火がついたように泣きだす赤ちゃんは、「本当にお母さんが世界からいなくなってしまった!!」と思って泣いています。ですから、お母さんの姿がまた視界に入ると安心して泣きやみます。

成長するにつれて「お母さんが目の前にいなくなっても、お母さんの存在自体は消えてなくならない」、そして「今目の前のお母さんは怒っていても、お母さんの愛情自体はなくなってはいない」を学習していきます。

これが母親以外の対象や出来事にも応用されていきます。「先生に叱られても、自分の存在全体を否定されたわけではない」「この人は嫌な人だけれど、全ての人が嫌な人ではない」「今嫌な事が起きていても、世界全体が悪くなるわけではない」など。

対象恒常性は困難を克服するための、足元を固める地盤とも言えるでしょう。つまり打たれ強さです。

この対象恒常性の獲得が、「世界に対する無条件の信頼」「一貫性」「誠実さ」の土台となります。

大事な友人が今この場にいない時、ある人がその友人の悪口を言ってもそれに同調しない、或いはその友人のプライベートを詮索されても答えない、こうした態度も「今ここにその友人はいないが、ずっと存在している」という対象恒常性があればこそです。この態度を一貫して取れる人が「信頼の厚い人」になります。
すぐにばれるような嘘を、保身や虚栄心やこびへつらいのためについたりしないのも同じことです。

対象恒常性の獲得が不十分だと、「常に足元がグラグラしている」「雨雲の向こうに青空があるとは思えない」という漠然とした不安感にさいなまれてしまいます。

この不安感が、しがみつき、依存、支配、執着、かまってほしい、かまわせてほしいに転じていくことがあります。

 

なるほど、みごとにBPDの心を説明できているように思う。

傍にいてくれないと対象に対して一貫した信頼をもてないので、会えないと常に対象に不安を抱き、愛情を感じることが出来ない。依存、執着その他に繋がっていく。

自分の経験で、相手が会えないことから不安を募らせ、不安定化していったということがあったが、まさにそういうことだったのかと思う。

知恵袋の解答から

玉石混淆のYahoo!知恵袋の解答から引用。

 境界性パーソナリティー障害(BPD)の人の対人評価は「極端」であって、必ずしも「理想化-こき下ろし」ではないです。基本は「良い人-悪い人」「味方-敵」です。他にも「役に立つ-役に立たない」「大好き-大嫌い」という評価もあり得ます。
なぜかはご存知でしょうか?BPDの人は、自我のある部分が幼い状態に陥ってしまい、矛盾した2つの事象・感情を統合理解することが非常に苦手だからです。全てオールorナッシングなのです。これはパーソナリティー障害全てに共通する症状です。

 

2.ターゲットとはBPDの人が自分の欲求を充す事を期待する対象を指します。質問者様が「もういらない完全に見限った人」となっていなければその「こき下ろし」はわがままか駄駄コネです。
もし、見限っていたら当然乗り移ります。そして、見限ってなくても二股、浮気をする事も充分あり得ます。さらに、それでも充たされなければ、刺激を求めて、浮気・不倫、性的逸脱、自傷行為、買い物依存、薬物依存など各種のアディクトにはまります。
何故なら、BPDは24時間365日自分を充す対象がいないと幼児期に起こった見捨てられ不安が起こり、気がおかしくなってしまう為です。そして、現実にその場にいる人からでないと、愛情を感じる事が出来ないのです。これは、対象恒常性という自分の中で自分を支える誰かのイメージの構築に失敗しているからです。(小さい時は大体お母さん)BPDは自分が愛されているという事をどうしても実感出来ないのです。ある意味可哀想です。

3.BPDは治療可能です。「治したいという意思」「カウンセラーとの強い信頼関係」「質の高いカウンセリング」「弁証法的行動療法」「適切な投薬」で早ければ2-3年で回復します。このまま付き合うのであれば治療をお勧めします。必ず治ります。

長文失礼しました。以下は参考です。

【BPDだけでなく人が人生で求める対象】
a. 一体感を感じる事で、自分を充す理想化された対象
b. 自分に賞賛を与える事で、自分を充たす支持的な対象
c. 自分と似ていると感じる事で、自分を充す双子的な対象
d. 自分と似ているが、一部で対抗点を持ち、自分の自己意見を言うことで自分を充す好敵手的な対象
e. 自分が相手にとっての理想化した対象となることで自分を充す子供的な対象

 

境界性人格障害の見捨てられ不安と行動化?について Yahoo! 知恵袋

自分の経験でも非常にわかる。

二値的にしか物事をとらえられず、何かをきっかけに勝手に強い不安に埋没していったようだった。あとは妄想と混乱と投影と分裂と正当化。

この人は治ると断言している。ただし条件として当然の如く「治したいという意志」が一番に上がっている。これがない限り、改善の余地はないだろう。これがある人には、弁証法的行動療法でかなり改善できる可能性があるのだろう。

必ず治ると断言しているが実際はどうだろうか…。まずは治療を受けないことにはどうにもならない。

 

エモーショナルディスクロージャー

つらいことが起きた時、それを乗り越えなければならない。

現実が変えられないのであれば、少しでも早く回復した方がいい。

 

そんなときは負の感情を吐き出すことが大切という。

その負の感情を外に向かって(紙に書くでもいい)表明することで、回復が早くなると言う。それがエモーショナル・ディスクロージャー。

 

アメリカの心理学者の実験では、1日20分、エモーショナル・ディスクロージャーをさせたグループと、させなかったグループを分けた。

その結果、エモーショナル・ディスクロージャーをさせたグループのほうが1週間後の気持ちが明るく安定し、更には数カ月後に再就職率を比べたところ、エモーショナル・ディスクロージャーを行ったグループは53%、何もしなかったグループは14%という結果になったという。

 

愚痴を聞いてもらう、日記をつけるなど何らかの方法で負の感情を吐き出すことが、心の安定、前向きな再スタートに繋がる。

 

***

しかし、BPDのパートナーが突然訳もわからないまま豹変して暴言や暴力をはじめたり、音信不通になったりする場合、どう受け止めればいいのだろうか。

受けるショックが大きく、現状の認識がかなり難しい。何故そうなったのかがわからない。なんとか回復できるのではないかと努力してしまう。自分が悪かったのかと責めたりもしてしまう。

いろいろ調べるなどしていて、ようやくBPDなどの精神疾患の可能性に気付く。しかしそこには治るとあったり治らないとあったりして、現状をつかみかけるも、今後を見通せない。

本当に厄介だ。BPDは、普通の人のように理解できる別れを提供してくれたりはしない。自己本位に相手をぶった切る。

そのまま潰されてしまって、仕事を失ったり、生活を破壊されてしまうのが一番まずい。

医療の助けを借りて支援を続けるという選択肢があるが、家族でないのなら相手を見捨てるという選択肢も考える必要がある。

 

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ネットや書籍等いろいろ見ていると、【試し行為】としてついたり離れたりを繰り返す場合のほか、相手が突然分かれを切り出し、そのまま音信不通になること、相手がパートナーを乗り換えながらまた戻ってきたり、複数人に対してパートナーの様に振る舞い続けてまた同じ人を相手にするようなことがあるようだ。また、別れも言わずに音信不通になるようなこともある。そのあたりは人それぞれ、相手や置かれた環境等にもよるだろう。

【試し行為】として分かれを切り出す場合は、基本的に相手への執着があるが、複数人を同時に渡り歩いているなら、誰に対しても特段に執着はしていないかもしれない。飲み込まれ不安や脱価値化で相手を拒絶しはじめていれば、憎悪すら抱いており、何をしても無駄に思える。相手は1か0かの判断しかできない。時間をおいて相手が気持ちを変えるぐらいしか可能性がない。同じ相手にふたたび執着を見せるかどうかはその人次第だ。過去の憎悪などなかったかのように悪びれもせずまた表れることもある。

なにしろBPDのパーソナリティは幼いので、自分本位で自分の感情に振り回されて幼子のように振る舞う。高機能型では日常生活でそれほど問題を感じさせないかもしれないが、自分が知る限り健常な人とは心の働きや行動に違いを大きく感じる。

感情の機微には敏感なので、憎悪に燃えていると意図的に相手の精神的なウィークポイントを狙って傷つけるようなこともするようだ。

そして、特に高機能型の場合はすべての責任は相手にあると思っている。

試し行為の範疇ではないと判断できる場合、相手が完全に拒絶しているのなら、離れるのが賢明ではないかと思う。

後者の場合、すべて相手の頭の中で起きていることが原因なので、自分に落ち度があるわけではないか、ホンの些細なことがきっかけに過ぎないだろう。

その場合、どう立ち回ってもパートナーだった人を相手にしようとしないか、怒りをたぎらせるだけだろう。相手にパートナーへの執着がない限り、打てる手はない。下手に動けばストーカー扱いされて通報されたり、周囲の人間関係を破壊される可能性がある。BPDは他人の操作に長けているから、極めて危険性が高い。

そういう存在であると言うことを認識する必要がある。過去にあったことはBPDが無限の愛情探しのためにつくりだした幻と考えた方がいい。

そこにたどり着くまで数ヶ月は時間がかかるだろう。それぐらいBPDは理想的な女性のように振る舞い、相手の心をつかむことに長けているし、相手のことを考えない唐突で理不尽な振る舞いは困惑、混乱を生み心を引き裂く。

相手は精神的な病を持っているのだと認識できれば、あとは怒りの感情を吐き出すなどして、なるべく早く精神を回復させるべきだ。そして自分の生活を取り戻さねばならない。

***

普通の恋人との別れと、BPDの行動は、かなりかけ離れている。

周囲の人は相手は「あなたへの愛情が冷めて、ほかの人に移ったのだ」というかもしれないが、そういう単純な理解は事実と異なる可能性が高い。「振られたのだからあきらめろ」、「現実を受け入れろ」という決めつけは的外れであろう。それは被害者を責め立てているだけだ。

ほかに乗り換えるために捨てるのではなく、勝手に不安に飲み込まれて相手を切り離しにかかったりする。そもそもありもしない無限の愛情を求めて相手かまわずさすらっているのがBPDだと思うべきかもしれない。

とにかく相手は健常な人とはちがう精神疾患の持ち主なのだ、という事実認識をしないとどうにもならない。

そこからようやく自分を取り戻すフェーズが始められる。そのためには、相手を見放してもかまわない。自分が相手に飲み込まれて非健全な精神状態にあれば、相手を支援することも難しい。

自分の生活と冷静さを取り戻し、そこから相手のことを考え直せばいい。

高機能型BPDは自殺したりしない。

低機能型BPDや中間的な人については自傷が目立てば強制入院が可能なので、そうした方向に持って行くべきだ。

「こんなに長く幸せが続くわけがない」という想いを持ちやすい

自分もこの傾向がある。幸せが続くと信じられない。

おそらく、BPDやACの人はこの傾向を強くもっているのだろう。

親愛を感じる相手との距離が狭まることでコントロールを奪われる不安を持ついわゆる飲み込まれ不安も背景はこのような傾向かもしれない。

 

まさしくその通り

 

全くその通りだと思う。

まずは状況・構造の認識。

それができない人、目をそむける人が「治らない人」なのだろう。

脳スキャンで治療効果、再発を予測

いつも読んでいる日経サイエンス2018 07月号の記事から。

うつ、依存症、社交不安障害
肥料効果を脳画像で予測

J.ガブリエル(マサチューセッツ工科大学)

社交不安障害の認知行動療法への反応が脳スキャンから予測できるという。事前の脳スキャンfMRI画像で怒った顔への反応が強かった患者では認知行動療法がより大きな改善に繋がる傾向が見られたという。また、拡散テンソル画像とMRIを使った、脳のネットワーク評価による診断基準で、どのうつ病患者に対する認知行動療法が有効化に関する予測精度は5倍向上したという。

また、覚醒剤アンフェタミン乱用の治療終了時の脳画像から、どの患者が12ヶ月間に再発されたかを予測できたという。

更に、肥満予防については、治療を受けたグループの、事前の高カロリー食品の写真を見た際のfMRI画像で脳の食物への注意と報酬領域の活性化を突き止め、この活性化が強い人は治療期間中減量にもっとも苦労したという。終了時のスキャンで注意と報酬領域が大きく活性化していた人は、9ヶ月後に食事療法から脱落していた例が多かったという。

記事は脳画像が治療効果や再発、学習などの予測に役立ちそうだ(課題もある)という内容だが、様はその人毎に違うと言うことが前提になる。

このブログではこのところACやBDPについて扱っているが、治療効果についてはその人によって違うということを言ってきた。同じBDPというカテゴリーに精神科医によって診断されていたとしても、そもそも診断基準自体が曖昧であるし、精神的なものは測定が難しく、精神科医の見方や経験によっても診断は違ってしまう。同じ人が精神科医によって異なる診断を受けることはよくあるらしい。誤診であったとされても、その新しい診断が正しいかどうかもあやしさが残る。そもそも精神医学領域の診断基準自体、常に批判がある。

精神医学領域はかなり自然科学から遊離していて、相当に想像の産物による。いまはこてこての精神分析による診断と治療はなくなっているものの、診断基準と薬による治療がこの領域では「科学的」とされているように思われるが実際に科学的な診断が出来る部分は少ない。たとえば、うつ病に関するセロトニン仮説はよく支持される程度にエビデンスはあるが、うつ症状そのものがもっと多様であることも分かっており、精神医学での薬物療法もどのタイプの薬が効くか効かないかという経験をもとに、このタイプの鬱は別のタイプの鬱とはしくみが異なるらしいとかと判断しているようだ。さまざまな精神疾患で鬱は登場するが、不明な部分が多すぎる。鬱一つでもこうなので、DSM等の診断名がつく分類では、経験と想像の賜物と言っていいぐらい、不明なものを相手にしているものがある。他科では当然とされる他覚的知見が得られがたい精神医学領域は、科学的に症状をとらえること自体が困難で、本人の弁や行動、観察によるところが極めて大きい(もっとも、医療の他覚的所見偏重の問題もある。他覚的所見が得られないがために詐病とされたり精神科送りされたりするが、のちに見逃されていた機序が明らかになることもある。むち打ち症状が典型的。だが、症状があっても医師の知識不足で見つけられないこともままありそうで、以前取り上げたものもそうだ)。

モノアミン仮説 脳科学辞典

 

 医学領域そのものが自然科学一般に比べて経験則的な側面が強い(現代の創薬は作用機序を元にデザインされることが多いが、経験が優先されて作用機序の不明な薬も使われてきた)が、精神医学領域はそれが際立っている印象がある。

BPDについてはBPDに特異的に使われるクスリはなく、抑鬱、不安に対してSSRI(セロトニン再取り込み阻害剤)を用いる程度が基本とされているらしい。

パーソナリティ障害の治療ガイドライン 牛島定信

 

また、DSS(ドパミンシステムスタビライザー:ドーパミン系安定剤)をあげている資料もある。

いずれにしろ根治を目指すものではなく、問題があるなら別の方法で表面上正常と似たような状態を作ればいいじゃない、というものであるから、副作用も起きるし症状がある限り薬も必要になるのだろう。多くの薬はガン細胞があるなら取り除けばいい、と言う発想とは大きく違う。

BPDに対する認知行動療法も、比較的効果はあっても万能である訳ではない。そもそもBPDが同じ原因を持つ一様な群とは考えられないので、人によって成績は異なるだろう。

結局のところ、詳細に医学的所見の得られる部分を解明、分類して、それぞれに適する治療薬、治療方法を明らかにするしかないが、いくらBPD患者が多いとは言え、それだけのデータを揃えることが困難だ。

取りあえず、脳スキャンで治療成績や再発の予測が出来る程度に知見が集まれば、最適な治療が現段階では困難にしても、効率化は出来るだろう。現存のやり方で効果があるとわかれば、積極的な治療を勧められる。

しかし、治療成績が悪い、再発可能性が高いということがわかった場合、それに対してどのような対策が取り得るのか。そのことで、本人や家族の徒労感が増し、自暴自棄的な行動を誘発する可能性もあり、難しい。

ただ、表面的に症状が緩解しているように見えても、脳スキャンを根拠に治療期間を延ばすなどの対応はBPDの場合効果はありそうだ。なにしろ高機能型BPDは医療者に症状をつかませないことに長けていて、それでも問題は確実に持ち続けているのだから。行動がおさえられて低機能型から高機能型に移行した場合、表面上寛解となって医療から離れてしまう。

そもそも高機能型BPDは社会適応出来ているために医療を受けることが少なく、医療側から捕捉されにくい。診察を受けても問題なしとされてしまうこともあるようだ。社会適応性や本人の生きづらさの度合いに治療の必要性を認める精神科の方針では治療対象になりがたい。パートナーや家族が連日暴力や暴言等に悩まされていたとしても。高機能型BPDが日本の医療者に問題として取り上げられづらい理由もここにありそうだ。ここに密室性の高い問題を起こしやすいBPDの闇があるように感じる。

精神科医が認めない限りカウンセリングは自由診療になる。この場合、保険が効かないので費用が莫大になる。アメリカでは心理士が判断でき保険が効く。おそらくアメリカで高機能型BPDが認識されているのはこうした事情が関係しているのではないかとも思われる。

近い精神疾患とされ、身近なものが大きな被害を受けやすく治療を受けることが少ない自己愛性パーソナリティ障害も同様だ。

 

 

解離・PTSD等の方向けLINEスタンプ

 

応用範囲はもう少し広いかも。